住宅が密集していなくて、ある程度広くて
スーパーも近くて、利便性のある場所。
子どもの学区も変わらないところ。
不動産会社のサイトを見ていたら、
偶然にも見つけてしまったんです。
売りに出ていた、中古の古い空き店舗が・・・。


リフォームの仕事に携わったこともあるので、
リノベーションによって、使えるところは
使って、古いものは新しくして、建物が生まれ変われる
ことは分かっていました。
真新しいものより、古い雰囲気が残っているもの
の方が好き、というのもあったし、将来何か
自宅でお店をやりたいと思っていた私には、またとない
物件でした。


たまたま住んでいた上階の音の問題と、
たばこを吸う夫が集合住宅では、なかなか
思うように吸えないという問題もあり、
夫は意外にもこの話に、大した反対をしませんでした。
私も自分の貯金から「これ位出せる」と示し、説得した
結果・・・


「いいけど、俺は仕事が忙しくて、家に関する手続き
一切できないよ。」

ということで、OKを頂きました(頂けたことにしました)。


土日になると、うつになっていた私でしたが、
毎日が輝き出しました。将来に希望が持ててきたからです。
未来が楽しく感じられてきたのです。
家族がいるにも関わらず、孤独を感じる日々から、
もしかしたらお店を通して、生き生きと
お客様やご近所の方と関われる、老後が待っている
かも知れないと、夢を持っていました。


毎日とても忙しくなりましたが、充実してました。
リフォーム会社に2社頼んで、見積もりを出して
貰ったり、間取りを練ったり、店舗付き住宅について調べたり、
ローンを組む手続き、ローンを組むのに必要な火災保険に
ついて調べたり、勉強することが山のようにありました。
何よりも市役所で、用途変更の開発許可をもらわないといけない
物件だったので、その書類を揃えるのに一番苦労しました。



けれどそのうち、そもそも家なんて買って、老後の生活費は足りるのか
不安になっては試算してみたり。
いつか大きな地震が起きたらどうしよう・・・と不安になったり。
泥棒対策はどうしようとか、台風が来たらとか、
家を持つということは、不安も一緒に背負い込むような
気持ちがしました。そのための火災・地震保険なのに、
根が貧乏性なもので、結局基本プランしか契約できませんでした。


こうした不安や心配事が、ますます脳を疲れさせ、蝕んでいく
ことになるとは、その頃は全く予期していませんでした。